佛教大学鷹陵同窓会
会長 河田 茂美
『 瑠璃色の地球 』
未だ感染症の収束が見えない状況下、同窓会会員の皆様には、お元気にご活躍の事と拝察いたします。又、日頃より同窓会活動へのご理解、ご協力を心より感謝致しております。
最近、テレビから流れてきたコマーシャルソングの聞き覚えのあるフレーズに思わず、「夜明けの来ない夜は無いさ あなたがポツリ言う 燈台の立つ岬で 暗い海を見ていた」と、一緒に口ずさんでいました。大海原を航行する船の上で、「人と、地球の、明日の為に」と、女性のナレーションが入ります。
その曲が、松田聖子の歌った有名な『瑠璃色の地球』です。
瑠璃色とは、ネットで調べてみると、濃い紫みの鮮やかな青色のことで、本来瑠璃とは、佛教世界の中心でそびえ立つ須弥山で産出される宝石で、佛教の七宝の一つであるとのこと、透明感のあるその色は、至上の色として神聖視され、静かで幻想的な深海を思わせるものです。
私が、宇宙から見た地球の画像を初めて見たのは、小学校5年の時に学校が統合され、その新しい小学校の図書室にあった『地球は青かった』という本の表紙に使われた地球の画像でした。
それは、深く明るく、美しい青色の地球で、子供心にも衝撃的な体験でした。今、考えてみると、何か分からないが、表現しがたい敬虔な思いだったのでしょう。
人類が知る限りにおいて、この地球は、多種多様な動植物の住むことのできる、唯一の惑星なのです。
その地球は、神からの愛に満ちた、最高の贈りものだと、私は思っているのです。
しかし、近年、地球の自然環境の破壊が進み、憂慮すべき問題となっている事は、誰もが知るところです。
現代における、急速な科学文明の発達は、人類にとって、多大なる恩恵となっている事は、確かな事実です。
又、科学技術の進歩によって生まれた、悪魔の兵器と呼ばれる核兵器は、地球の存亡を左右する脅威となっているのです。
抑止力という口実のもとに核兵器を保有する国々がありますが、昨今の世界の情勢を考えてみると、実際に使われる可能性はないとは、言い切れないものがあります。
宇宙から見た地球には、国境という線引きなど、どこにも見当たらず、世界中の全ての人達は皆、同じ地球に住む、地球人なのです。
その仲間どうしが、戦争によって、殺し合うことほど、愚かしいことはないと思いませんか。
子や孫、そして、その後に続く後人達に、宇宙の宝石とも言える、この美しい地球を、そのままに、引き渡す義務が、今、生きている私達にはあるのではないでしょうか。
神からの愛の贈りものである地球を守るには、私達の愛をもって応えなければならないと私は、考えるのです。
では、愛とはどのようなものなのか、新約聖書に次の様な記載があります。
「愛は、寛容なもの、慈悲深いものは愛、愛は妬まず、高ぶらず、誇らない・・・・・・すべてをこらえ、すべてを信じ、すべてを望み、すべてを耐え忍ぶ。愛は決して滅びさることはない。」とあります。
人間の行いによる、この世の出来事は、善なるものも、悪なるものも、人の心の思いから生まれるもので、その結果なのではないでしょうか。
聖書の教えは、理想としては素晴らしいのですが、それを現実に実践するのには、かなりハードルが高いと思われます。
しかし、地球上の生きとし生ける全てのものに対して、思いやりのある愛の心を持つならば、無益で愚かしい戦争は起こらず、自然環境の破壊にも、歯止めがかかるのではないでしょうか。
私自身も含めた世界中の、一人ひとりの人達が、この困難を諦める事なく、高いと思われるハードルを、愛の心をもって乗り越え、地球を守るために皆が、力を合わせて行動し続けるならば、希望という夜明けの光を見出す事が出来るのではないかと、私は考えているのです。
最後になりましたが、皆様におかれましては、コロナ禍の中、恙なく過ごされることを心より祈念いたしております。
令和4年7月