佛教大学 学長

佐藤和順

佛教大学の卒業生の皆様へ

 このたび、佛教大学の学長として皆さまにご挨拶できることを大変光栄に思います。まずは、本学を支えてくださっている卒業生の皆さまに、心より感謝申し上げます。学生時代に築いた学びの基盤と人とのつながりを生かし、それぞれの分野で活躍されていることを大変誇りに思います。

 佛教大学は1912年の創立以来、「仏教精神に基づく人間教育」を理念とし、知識の修得にとどまらず、人とのつながりを大切にしながら社会に貢献できる人材の育成を目指してきました。このたび、新たなロゴマークとともに、本学の理念をより明確に示すタグライン「ありがとうが、あふれる世界を。」を制定しました。

 「ありがとう」という言葉は、単なる挨拶ではなく、誰かの存在や行為に対する感謝の心を表すものです。この言葉には、人と人との関わりがあり、互いを思いやり、支え合う温かさが込められています。佛教大学は、この「ありがとう」に象徴される仏教の精神を教育の根幹に据え、学生一人ひとりが感謝の気持ちを持ち、それを行動として表現できる人へと成長することを願っています。そして、その学びを通じて、社会の中で他者と共生し、未来をより良くする力を持つ人材を輩出することを使命としています。

 時代の変化とともに、社会の要請も変わり続けています。情報技術の進化、グローバル化、環境問題や社会的格差の拡大といった現代の課題に対応するためには、これまで以上に柔軟で創造的な発想が求められます。佛教大学は、このような社会の変化に応じながらも、教育の本質である「人を育てる」ことを大切にし、伝統と革新を融合させながら歩みを進めています。

 卒業生の皆さまが、在学中に培われた「智慧」と「慈悲」の精神は、人生の指針となり、より良い未来を築く力となることでしょう。知識とともに、共感力や協働の精神を養い、多様な価値観を尊重しながら生きる力を培うことが、本学の教育の特徴です。佛教大学の卒業生が、各界で活躍し、社会をより良いものへと導くことを期待しています。

 また、佛教大学では、卒業後も学び続けることができる機会を提供しています。リカレント教育や生涯学習プログラム、そしてO.L.C.(オープンラーニングセンター)の各種講座を通じて、時代の変化に対応した知識やスキルを身につけることができます。学びは一度きりではなく、生涯を通じて続けていくものです。本学で得た学びを活かし、さらなる自己成長につなげていただければ幸いです。

 さらに、同窓生同士のつながりは、佛教大学にとっても卒業生の皆さまにとっても、非常に貴重なものです。全国各地、さらには海外においても、多くの卒業生が活躍されており、同窓会を通じた交流は、新たな学びや実践の機会を生み出します。オンラインや対面でのイベントを活用し、世代や地域を超えたネットワークを広げていただきたいと願っています。

 佛教大学は、皆さまにとっていつでも帰ってこられる場所です。京都を訪れる際には、ぜひ本学へお立ち寄りください。キャンパスでは、対面講義や特別講演が開催され、図書館も卒業生に開放されています。学びの原点を振り返るとともに、新たな知見を得る場として、母校をぜひご活用ください。また、後輩たちへのアドバイスやご経験の共有を通じて、次世代の育成にもご協力いただければ幸いです。

 卒業生の皆さまのさらなるご活躍とご健康を心よりお祈り申し上げます。佛教大学は、これからも皆さまとともに歩み続けます。引き続き、温かいご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

どうぞ、佛教大学とともに、「ありがとうが、あふれる世界を。」創っていきましょう。

合掌