佛教大学学長 伊藤 真宏

ご存じのように大学とは、教養を身につけ、専門性を高め、免許・資格などを取得し、社会に貢献できる自分を形成するところです。また、課外活動や社会体験を通じて、一人で生きているのではないことを自覚し、協調性を養い、他者を尊重できる自分になるところでもあります。

佛教大学はこれまで一貫して、仏教精神を根底に、自分を大切にし、他者をも大切にできる人、そんな人材を 100 年以上にわたって社会に輩出してまいりました。

仏教精神とは、眼の前に起こる現実をしっかり見据え、自分のなすべきことをなすことに他なりません。

浄土宗を開かれた法然上人の思想の根幹に「還愚(げんぐ)」という考えがあります。それは本当の自分を認め、その自分が確かにできることを携えて、着実に未来へ歩んでいくことです。

佛教大学で学んだ同窓の皆さまには、自分を大切にし、そして他者をも大切にできる人として、お元気でご活躍のことと存じます。

2022 年(令和 4 年)度に入り、本学も感染予防に留意しつつ、対面授業を 8 割以上とし、キャンパスに学生の声が響く「大学らしさ」が戻ってきています。しかし、6 月末ごろからは感染者数が若干増加に転じており、予断を許しません。さまざまなところで人数制限が緩和され、京都にはスーツケースをもって移動される観光客が多くなっていますので、世はウィズコロナ、ポストコロナにシフトしていることを実感します。大学も、感染拡大とならないような施策を取りながら、新たな大学のありようを模索しています。

コロナ対策や学生への援助、さらに 18 歳人口の減少や文科省の定員厳格化指導などの要因によって、私立大学の置かれている状況は非常に厳しいものがあります。また幼いころからスマホのゲームに興じる「デジタルネイティブ」と呼ばれる世代が、10 年を経ずに大学に進学してきます。そのような中で、世の状況や変化に応じて、佛教大学は、選ばれ大学、行きたい大学、薦めたい大学、そして持続可能な大学を目指しておりますが、それには何よりも、同窓の皆さまのバックアップなしに実現することはできません。本学を卒された皆さまの社会におけるご活躍とご支援こそが、それを実現してくれるものと思います。是非、母校へのお力添えをお願いいたします。

同窓の皆さまに、リニューアルした佛教大学を訪れていただく機会として、毎年「佛教大学ホームカミングデー」を鷹陵祭に合わせて開催しております。そこへのご参加はもちろん、いつでも、新しくなった母校へお越し下さることを教職員一同、心よりお待ち申し上げております。