Vol.11 社会学部 現代社会学科 山口 洋(やまぐち よう)

 

山口 洋

やまぐち よう

社会学部現代社会学科准教授
 ※職名は取材当時のもの

プロフィール

1965年、北海道函館市生まれ。1994年に東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程を満期退学し、以後1997年3月まで金沢大学文学部助手
を経て、4月より佛教大学社会学部専任教員となる。専門分野は社会調査論社会統計学で、日本社会学会日本教育社会学会数理社会学会などに所属。著書は「数学嫌いのための社会統計学(第2版)」(共編著)など。最近の趣味はチェス。

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自分人の幸せを越えた、 何か大きな目標に向かって進もう

ー先生の近況を教えてください。

京都に来てからもう19年になります。京都は高い建物が少なくて、どこからでも山が見えます。都会の良さも自然も楽しめるまちで、路地を入ると隠れ家のようなお店があったりするので、散歩を満喫しています。京都に来てから結婚したので、おいしいものも食べられるようになったし(笑)佛教大学では、当初は社会学部社会学科で、2004年から現代社会学科になりました。学んだのも最初に勤めたのも国公立で、国公立は社会学を専攻する学生が少なかったのです。けれども佛教大学の社会学専攻の学生は非常に多く、大勢を前にした講義には驚きました。常時、150~200人を前に教えていますが、今はこの賑やかさが普通になっています。プライベートでは、2年前にテレビでチェス名人の伝記を見て興味を持ち、すっかりはまってしまいました。インターネットで対戦を楽しみ、このごろは社会学以外に買うのはチェスの本ばかりです(笑)

ー研究内容と印象的な思い出を教えてください。

社会学は人が人を調べる学問です。例えば天文学なら星の動きに変化はないけれど、社会学は同じ質問でも問う対象によって回答が変わり、自分たちの調査結果が世間に影響を与えることもあります。コミュニケーションの難しさと面白さを実感できる学問なんです。そして社会学は一見、簡単そうに見えますが、実は常識が落とし穴になりがちです。だから学生には、常に「常識を疑え」「先入観を信じるな」と言っています。常識やそれにとらわれていた意識をクリアにしてから取り組まねば、新たな発見はなしえません。コミュニケーションが重要な学問ですから、他学部に比べると社会学部は元気が良く、社交的な学生が多いですね。私が教え始めたころは、自分自身がまだ未熟なこともあり、板書のために背中を向けるとやかましくなりました。あまりにやかましいので「うるさい!」と怒鳴ったら、飴を投げられたことがあります。実は、書いた字が間違っていたのですが…。投げた学生はわからないままなので、いまだにその子と会ってみたいです。また、授業中ずっと漫画を読んでいたり、ギターの練習をしていた子もいました。それに比べると今の学生は紳士的というか、おとなしくなりましたね。
酒の飲み方も豪快で、泊まりがけのゼミ旅行では夜の飲み会は派手でした。ゼミ生全員が、卒業するとき我が家に押しかけたこともあります。当時は独身で、狭いアパートに15人がひしめき合って飲んだのも懐かしい思い出です。

ー同窓生へのメッセージをお願いします。

社会に出ると、社会のことがリアルにわかります。権力なんて、実際に組織に入って偉い人と接しなければ実感できません。疑問や悩みが生じたら、社会学の教科書をもう一度開いてみてください。「この話はそういうことだったのか」と、当時はわからなくても社会へ出た今なら理解できることがあるはずで、救われるヒントが見つかるかもしれません。また、様々な事柄を社会環境から解いているので、「こんな環境だから苦しいのか」などと納得がいくでしょう。自分で自分を追い詰めることがなくなり、視野も広がります。それから、私の好きな言葉に「自分の幸せを人生の目的にしてはいけない」
というのがあります。幸せになるか否かは、運にも左右されます。また、ひたすら自分一人の幸せを願う人生は虚しいものです。皆さんには、自分自身を越えた何か大きな目標に向かって進んでいっていただきたいと思います。