Vol.12 教育学部 臨床心理学科 牧 剛史(まき たけし)

 

牧 剛史

まき たけし

教育学部臨床心理学科准教授
 ※職名は取材当時のもの

プロフィール

1975年、愛知県名古屋市生まれ。京都大学教育学部、同大学院教育学研究科博士課程修了。2003年に同大学院文学研究科COE研究員となり、その翌年に佛教大学臨床心理学研究センターに相談員として勤務。その後、臨床心理学科講師を経て准教授となる。専門分野は臨床心理学で、所属学会は日本心理臨床学会日本箱庭療法学会。趣味は錦織圭選手の試合を見ること。

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問題は一人で抱え込まず、共詞・協働の精神でチャレンジを

-先生の近況を教えてください

今年で佛教大学に来て11年目です。昨年度から臨床心理学科の学科長を務めています。昨年、「公認心理師法」が成立しましたので、現在はカリキュラムの見直しや学科の方針を検討するなど、研究以外の仕事も増えています。
また、学校現場で先生方に臨床心理学の視点の大切さをお伝えしたり、幼稚園で先生と協働して子どもや家庭の支援を行うなど、教育現場での臨床実践がライフワークになりつつあります。家庭では小学6年生と3年生の息子がいて、二人とも野球をしています。私は野球経験はないのですが、親にできないことを一所懸命やっているのを応援するのはとても楽しいです。休日は試合の写真を撮ってチームのホームページにアップするなどで、サポートしています。でも、私の見た目は昔とあまり変わらないらしく、スポーツウェアを着て自転車で通勤すると、警備員さんに「何回生?」って聞かれます(笑)

ー同窓生との印象的な思い出を教えてください。

佛教大学とのご縁は、非常勤講師をさせていただいたことがきっかけです。60~70人の学生の前で授業するのは大変、緊張したものです。ある日、髪をツンツンに立てた学生がいて、とても恐そうに見えました。すると授業中にその子が手を挙げて、「先生、スーツの裾がズボンに入っています」と教えてくれたんです(笑)。
その一言で緊張がほぐれました。佛教大学は他大学と比べて、とても素直な学生が多いと思います。そんな学生たちに助けられて、今の教員としての自分がいると思っています。困っている人がいたら自然に助けようとしたり、人の役に立とうと頑張る子が多いので、教え子を「人」として尊敬できます。こちらが一所懸命に講義をすると一所懸命に聞いてくれる。それで気合いの人ったレポートを書いてくれると、うれしくなりますね。私の教え子には、スクールカウンセラーをしている卒業生が多くいます。私のお世話になった先生がスクールカウンセラー部会のリーダー的な役割をされていて、その卒業生たちのことを「とても活躍しているよ」と高く評価してくださったときも大変うれしく思いました。

ー同窓生へのメッセージをお願いします。

大学院のゼミの卒業生とは毎年、飲む機会があります。みんなが臨床の現場で頑張っている様子を聞くと、私も元気をもらえます。卒業してから連絡のない人たちもいますが、そんな人たちがこのページを読んで、メールでも手紙でも、近況を知らせてくれたらうれしいですね。臨床心理学科の卒業生は、臨床の仕事や教育・福祉の仕事に就く人が少なくありません。知らない現場に飛び込み、例えば難しい子どもに接しても、一人で抱え込まないでほしい。仕事の現場には必ず同僚がいるのですから、誰かを頼るということをネガティブに捉えないで。「自分がなんとかしないと」と思い詰めれば、結局、相手のためにならないことも起こってきます。困難に立ち向かうには、支え合える人を見つけてください。そして臨床の仕事に限らず、どんな仕事に従事していても、今、自分の目の前にいる人を大切にするということを意識してほしいと、心から願っています。