令和2年11月

阿弥陀仏ど 十声称えて まどろまん
ながきねむりに なりもこそすれ


『法然上人の和歌』 

「 夜、眠りに就く前には『( 南無 )阿弥陀仏 』と十回称えて眠ろう。この眠りが永遠の眠り( すなわち死 )となるかも知れないから 」という意味の和歌です。
夜、 眠りに就くとき、 明日の朝は間違いなく目が覚める、という確信を持っている方はどれほどあるでしょうか。 若い方ほど、確信を持っているかと思います。 しかし、確率的には非常に低いかも知れませんが、「 一00パーセント、 絶対に目が覚める」という人は、実は存在しないのです。
法然上人にとって、いちばん重要なことは、極楽に往生する、ということでした。だから、いつ、命の終わりがやって来ても良いように、念仏を称えて眠るということを、常に実践しておられたのです。つまり、いま自分が実践できること、実践しなければならないことを、明日に先送りせずに実践されていたのです。
いま自分が実践できること、実践しなければならないことは何でしょうか。「 明日にしよう 」と思わずに、今日のうちにしておきたいものです。
(仏教学部教授 曽和 義宏)

「五劫思惟阿弥陀佛」 
(画:別科修了生 菊田水月)
近頃「アフロ仏 」とし て有名になったこの阿弥陀様は、とてもかわいらしくユーモラスなお姿をしておられます。このお姿は、すべての人々を救うため、五劫という計り知れない長い長い年月の間、思惟をめぐらし修行された阿弥陀様の尊いお姿であります。
( 一劫とは、四十里立方( 約1 6 0km)の大岩があって、これを天女が三年に一度舞い降りて羽衣でなすり、ついにその岩が無くなるまでの歳月のこと )
阿弥陀様は、いつも 私達を思い続けてくださっています。たとえ、私達が阿弥陀様のことを忘れていたとしても、阿弥陀様は私達を片時も忘れることなどありません。
菊田水月

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