令和7年9月
判断する力を身に着けるこどが最も大切てある
中央教育審議会答申(平成ニ六年一ニ月ニニ日付)

大学での教育を受けるためには試験に合格しなければならない。この試験に合格した人たちは、知識の暗記と再生に偏りがちで、思考カ・判断カ・表現力さらには主体性を持って多様な人々と協働する態度などが十 分に育成されていない、と評されてきた。
このなかで判断力が最も重要であることは論を俟たない。なせなら、何を思考し何を表現するのかを判断しなければならないからで ある。そして、誰とどのように協働するのかも、また判断しながら進んでいくのである。
この判断力を身に着けるにはどうすればよいのであろうか おそらくその答えは、最初の文章のなかにある。知識の暗記と再生に偏らない、ということである。すなわち、多くの実体験があり、そのなかで成功したり失敗したりしながらどのような判断が状況に適していたのか、そしてまた多様な人々との協働に成功できたのかそうでなかったのかを理解できる機会もそこにしかないからである。
(歴史学部教授 麓 慎一)
『法然上人の絵物語』第八巻
(画:別科修了生 菊田水月)
第四段 勢至菩薩が念仏行道に加わる
あちらこちらで別時念仏を行い、昼夜絶えることなく念仏を勤める起源は、法然上人の在世中から起こったことである。
元久二年正月一日より、霊山寺において三七日の別時念仏が行われた。その時、灯火がないのに光明があたりを照らし、そして五日目の夜には行道の中に勢至菩薩が列に加わっておられた。 その姿は信空にしか見えす、このことを法然上人に伝えると、上人は「そのようなこともあろう」と短くお答えになったという。
菊田 水月