令和7年10月

善き人々とともに坐せ善き人々ど交われ
『ブッダ神々との対話ーサンユッタ・ニカ ーヤ—』
    第Ⅱ篇 第三章 第一節(岩波文庫)

 善き人々と交わる理由は、自分を幸せな方向へ導くことにあります。
 神の子シヴァが釈尊のところへ赴き、善き人 々から得 る影響を六 つ示します。「善き人々と坐せ、交われ。正し い教えを学び知って、①より善き者となる、②智慧が得られる、③憂いのさなかにも憂えない、④親族のうちで輝く、⑤良き境地におもむく、⑥永遠の福楽に住する」《取意》と 。
 ここでの影響は、いいとこ取りから得る幸せではありません 。自己形成 の道です
 実際に、我々は周囲の人々から影響を受けます。自分の周囲にたまたま、その人が居たから・・・・・・、居なかったから・・・・・・、などの認識や回想を持ちます。そして、周囲からの何気ない指摘や助言は、時に自分を正しく導く大切な宝物です
 ちなみに釈尊は、シヴァに対して一つだけ返答します。「善き人々と坐せ、交われ。正しい教えを学び知って、すべての苦しみからの がれる」《取意》と ━━━仏教が目指す究極です。

(宗教教育センター実習指導講師 法澤 賢祐)

『法然上人の絵物語』第八巻
(画:別科修了生 菊田水月)

第五段 頭光踏蓮
 元久二年四月五日、法然上人は九条兼実公の月輪殿に招かれ、数時間の法談をされた。兼実公は上人がお帰りになるとき、庭先に崩れるように降りられ、額を地につけて礼拝をした。なせなら、兼実公には法然上人が宙で蓮華を踏み、頭上に光明を輝かせている姿が見えたのである法然上人が庭の池の橋を渡られるとき、頭光ははっきりと見えた。それ以来、その橋は〈頭光の橋〉と呼ばれるようになった。

菊田 水月

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