令和7年11月
『超然独不群』
善導大師『往生礼讃』

島国に住む日本人は群れる傾向にあると言われる。仲間といっしょに行動すれば安心感があるからだろう。群れること自体が悪いのではない。問題は群れの中の価値観に安易に染まりきってしまうことだ。
超然として独り群がらす。「流動する世俗的な常識にとらわれたり他人の言動に振り回されたりすることなく、自己の確固たる価値観を堅持する姿勢を貫け」という意味だ。そして孤ではなく独であることがポイントになる。孤は周囲に何もない中の一つ、独 は周囲に多くありながらの 一つ。砂漠の中の一輪の花は孤で、白い花畑の中に咲く一輪の赤い花は独。また孤立は避けられ、独立は後押しされるので、「孤独」と言い慣わしているが、実は両者の意味の違いは明らかだ。
自分にとって正しいと確信できたことがあれば、たとえ独りであろうとそれを貫き通す勇気と強さを維持せよ!大切なのは群れを守ることではない。この世で一番大切な自分を守りきることだから。
(仏教学部特別任用教員(教授) 齊藤 隆信)
『法然上人の絵物語』第八巻
(画:別科修了生 菊田水月)
第六段 法然上人の念珠、光を発する
ある人が、法然上人から念珠をいただいた。その人は夜も昼もその念珠でお念仏を称えていた。ある日、念珠を部屋の竹くぎに掛けていたところ、その部屋の中が明るく照り輝いた。法然上人の念珠が光を発していたのだ。それはまるで晴れ渡る夜空に浮かぶ星のように、玉の一つ一つが美しく明るく光輝いていたのであった。
菊田 水月

