令和6年1月
天下和順
法然上人『無量寿経』
天下和順 日月清明 風雨以時 災厲不起 国富民安 兵戈無用
崇徳興仁 務修禮譲
『無量寿経』に説かれる一節で、「天下は太平であり、日と月は清らかに明るく照らし、風と雨も時に応じ、災害と疫病も起きす、国は豊かに人々は安らかに過ごし、兵や武器を用いる争いごともなく、人々は徳を崇め仁を尊び、努めて礼儀と謙譲の道を修めます(『新簒浄土宗大辞典』) 」ようにとの祈りを込めて、本学の朝のおつとめでもお唱えしている言葉です 。
二〇二二年二月に開始されたロシアのウクライナ侵攻も終わりが見えず心を痛めていたところに、二〇二三年一〇月にはイスラエルが戦争状態に入ったとのニュースが入ってきました。これらはテレビや新聞のニュースで大きく取り上げられていますが、他の地域でも砲弾におびえ涙を、血を流す無辜の人々が多くいます。
大学という人類の知的営みの中心を担うべき機関は、 体何ができるのでしようか?何をなすべきなのでしようか?
(仏教学部准教授 市川 定敬)
『法然上人の絵物語』第五巻
(画:別科修了生 菊田水月)
第二段 弘法大師の『十住心論』を非難、大師との夢を語る
法然上人は、建仁二年九月十九 日の談義の時、『十住心論』は『大日経義釈』に基づいているにもかかわらす、その内容に相違する点が多いと非難されました。そして、二十年以上も前、大師と胸を合わせて抱き合し、問答する夢を見たと回想します。上人は、夢の中で大 師としっかりと抱き合われたことは、非難した内容がすべて、大師の御心に叶い 、よく非難してくれたと思われたからであろうと語られました。
菊田 水月