令和7年4月

我れ超世ちょうせの願を建つ
無量寿経むりょうじゅきょう』  

 阿弥陀仏が成仏する前の法蔵菩薩ほうぞうぼさつと名乗っていた時に 、自分が仏となったならばどのような仏になろうと考えて四十八の誓願を立てました。浄土宗が、念仏を称えることで極楽に生まれることができると教えるのは、この四十八願に「我が名を称え るものは必す私の国土に生まれさせる」 という誓いが含まれるからです。そして、法蔵菩薩は四十八願を立てた後にそれらを総括する詩句を説きます。その冒頭に宣 言されるのがこの「我れ超世の願を建つ」という言葉です。いかなる者であれ、私に救いを求め我が名を呼ぶものは、必ず苦しみのない私の国に救いとろうという願いは、まさしく他に比類のない世間を超えた願いといえるでしょう。
 ちなみにこの詩句の後、『無量寿経』では法蔵菩薩の誓願が成就することを予言して天から華が降り音楽が響いた(応時普地、六種震動、天雨妙華、以散其上、自然音楽、空中讃言、決定必成、無上正覚)と説かれますが、この箇所は映画「AKIRA」の中で絶妙な仕方で使用されています。
 さあ新しい年度の始まり、新たな目標を立てるのにふさわしい時期です。みなさんはどんな願を建てますか。

(仏教学部准教授 市川 定敬)

『法然上人の絵物語』第七巻
(画:別科修了生 菊田水月)

第三段、第四段 小蛇の聴聞と瑞相出現
 法然上人が上西門院において七日間、円頓戒の講義をされた時、唐垣の上に一匹の蛇が姿を現し、まるでその講義を聴聞しているかのようであった。ところが結願の日、蛇は死んでしまう。すると、その蛇の頭から蝶や天女が空に舞う姿を見たという人があった。
 また、法然上人が三密の修行をされている時には、蓮華、羯磨や宝珠などの瑞相が出現したという。

菊田 水月

    前の記事

    令和7年3月