令和7年3月
運命は勇者に微笑む
羽生善治(ニ〇 一二)『アナザースカイ』日本テレビ

将棋界のレジェンド・羽生善治が中終盤に指す常識破りの一手は「羽生マジック」と呼ばれた。解説者も度肝を抜かれる。相手の切っ先の届く距離に踏み込んでのギリギリの闘い を挑む彼の姿勢が、定石にとらわれない勇気ある一手を生んでいる。その攻めの姿勢は、勝利する確率を高めるとともに、たとえ負けたとしても自身の可能性を拡げることになる。リスクを避けて手堅くいこうとする消極的な姿勢からは何も生まれな い、と彼は言う。
二〇二四年度卒業生の皆さん、卒業おめでとう。新たな世界でおおいに挑戦してきてください。失敗したら?いいじゃないの、失敗しても次がある。それに、本気で挑戦した先の失敗は失敗じゃないよ。確実に成長をもたらすからね。最大の失敗は、失敗を恐れて挑戦しないことにある、と誰かが言う。君の勇気ある一歩のその先に、きっとすてきなアナザースカイが広がるはず。
(社会福祉学部教授 村上 武敏)
『法然上人の絵物語』第七巻
(画:別科修了生 菊田水月)
第二段 法然上人、華厳経披講の場に、蛇が現れる
法然上人が黒谷で『華厳経』を講じていた時、青い蛇が机の上に現れた。
信空は大の蛇嫌いであったが、上人に命じられて蛇を障子の外に追い出し。が、席に戻るとまたしても蛇が机の上にいたので、信空は震え上がった。その夜、信空は夢を見た。大きな龍が姿を現し「私は華厳経を守護する龍神である。怖れることはない。」と言い終わるのを聞いて、信空は夢から覚めた。法然上人の講義は龍神をも感動させたのであろう。
菊田 水月