令和元年12月

正定の業というは、
すなわちこれ仏の御名を
称するなり

  『選択本願念仏集』  

 本年もいよいよ十二月、締め括りとなりました。この一年間、私たちは何をしてきたでしょうか。何ができたでしょうか。
はからずも人を蔑ろにして傷つけてしまったかもしれません。気づかないうちに人の大切なものを奪ってしまったかもしれま
せん。
さて、今月の言葉は「極楽に生まれるためにまさしく定められた行いは、阿弥陀仏の御名を称えることである」という意味です。これは法然上人が浄土宗を開宗するに至る根拠となった言葉で、中国は唐の僧侶、善導大師が『観無量寿経』を註釈した『観経疏』に記される言葉です。その『観無量寿経』には「(南無阿弥陀仏と)仏名を称するが故に、念念の中において八十
億劫の生死の罪を除く」とも説かれます。仏の名を称えることにはそれほどの功徳が備わっているのであり、だからこそ「ま
さしく定められた行い」になり得るということでしょう。
一年の終わり、私たちは新たな歳を迎えるために家中の大掃除をします。しかし、心の中はどうでしょうか。内も外も浄らかに、新年を迎えたいものです。
(仏教学部講師 市川 定敬)

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