令和2年1月

天下和順

  『無量寿経』  

 毎年、正月元日を迎えて修正会という法要が営まれます。その時、新しい年への願いを込めて「祝聖文」(現世祈祷文)をお唱えします。一年の世界と人々の安穏を祈るのです。
「天下和順 日月清明 風雨以時 災属不起 国豊民安 兵戈無用 崇徳興仁 務修禮譲」
また、寺院の堂塔などを建立する場合、上棟式の際にこの御文が書された「棟札」が棟木に安置されることとなっています。寺院の堂塔などは多くの人たちからの浄財によって建てられ、大変功徳をもたらせるとされています。その功徳として願われるのがこの御文の内容なのです。
「天下、すなわちこの世界が和やかでその法則通りで、太陽や月が清らかで明る<照らし、風や雨は適当な時に吹き、降ってくれて、災害や疫病が起こらず、国は豊かで人々がみんな安らかに生き、兵器を用いることなく、人々が互いにその徳を崇めあいつつ、思いやりの心を興し、人として守るべき礼を尽くして譲り合いの道を務めて修せますように」といった意味になろうか。
まさに、世は「令和」、善い意思を以って平和を築いてゆく時代なのです。
(学長田中典彦)

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