平成30年10月
徳のある人の香りは
風に逆らっても進み行く
『法句経』
ダンマパダ(『法句経』)54に「花の香りは風に逆らっては進んで行かない。栴檀もタガラの花もジャスミンもみなそうである。
しかし徳のある人々の香りは、風に逆らっても進んで行く。徳のある人はすべての方向に薫る」と説かれている。
ここにいう栴檀もタガラの花もジャスミンも相当に強い香りのするものです。しかしその香りは風上には流れない。
ふと思い出されるのは、平安前期の学者・政治家であって『類聚国史』を編み、その当時徳の高い人物とされた菅原道真が大宰府に左遷された後に詠んだとされる句「東風吹かば匂ひおこせよ梅の花 主なしとて春な忘れそ」です。ここでも梅の花の香りは風によって運ばれるのです。しかし彼の徳による名声はすでにいたるところに伝わっていたのです。
徳とは善い行いによって身についた品性であり人柄のことで、しかも人を感化する人格的力をいうのです。やっぱり「悪いことはするな、善いことを行え、そして自ら心を浄めよ」ということに尽きるのです。
(学長 田中 典彦)
南伝 仏教南歩き No.7
ラオス タート・ルアン
タート・ルアンは、ラオスのヴィエンチャンにある、ラオスを代表する仏塔のひとつ。ラオスのシンボルであり、国章にも描かれています。
高さ45メートルの黄金の大仏塔の周囲を小仏塔が囲んでいます。伝承によれば3世紀頃にインドから釈迦の胸骨がもたらされ、同寺院が建立されたといわれています。
写真は、黄金に輝く仏塔タート・ルアン。