令和6年10月

ここにおいて善を修すること 十日十夜

無量寿経むりょうじゅきょう』  

 暑い暑い夏も終わり、虫の声が聞こえる季節になりました。十月といえば十五夜のお月様ですが、浄土宗には御十夜という法要があります。元来は、旧暦の十月五日の夜から十日間行われる行事でしたが、現在は短縮されることが多くなっています。その御十夜の由来が、今月のことば「ここにおいて善を修すること、十日十夜です。これは『無量寿経』に説かれる言葉で、私たちがいま生きているこの娑婆世界で 善い行いを十日間おこなうことは、善がおこなわれることが自然である諸仏の国土で一千年のあいだ善をおこなうことよりもはるかに勝れている、だからこの迷いと苦しみのこの世界で善をおこないなさいと勧めるものです。
 私たちは、辛いこと、悲しいことが続くとやがてふて腐れて、心が折れてしまいます。しかし、『無量寿経』は教えています。そんな時にこそおこなう善に無上の価値があるのだと。「このふざけた時代」「腐敗と自由と暴力のまっただなか」で。
※TOM★CAT 「 TOUGH BOY(北斗の拳2オ1プニング)」 より

(仏教学部准教授 市川 定敬)

『法然上人の絵物語』第六巻
(画:別科修了生 菊田水月)

第五段 法然上人、念仏七万遍の後は、昼夜余事をまじえず
 念仏七万遍を発願した法然上人は、昼も夜も念仏以外のことはなさらなかった。ある日、人が訪ねてきて、仏教について問われている間も、法然上人の念仏の声はやむことはなかった。はて、聞いておいでなのか、と思われたが、 そんな時は、わずかに念仏の声が小さくなるだけで、法然上人はいっこうに念仏をやめようとしなかった。

菊田 水月

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